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2011/12/27

12月25日メッセージ「皇帝アウグストの時代に」

ところが、彼らがそこにいる間に、マリヤは月が満ちて、男子の初子を産んだ。それで、布にくるんで、飼葉おけに寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。               ルカ2:6、7(1~7)

《皇帝アウグストの時代に》

ヘロデ王がユダヤを統治していた時代、そのユダヤをも含むローマ帝国があった。義父カエザルなどが広げた領土を固めて帝国の基礎を築き初代皇帝となったのがアウグストである。彼は「テームズ川(イギリス)からインダス川(インド)までの治安の中心」とある歴史家が評し、紛争の絶えない国々を征服して磐石の支配体制を確立、「パクス・ロマーナ」(ローマ帝国がもたらした平和)を実現した偉大な皇帝であった。彼は、「神君」また「アウグスト」と言う尊称を与えられた、歴代のローマ皇帝の中でも卓越した名君で、紀元前43年から紀元後14年の長期、帝国を統治した。シリア総督クレニオもまたローマの執政官を勤めた歴史書に残る著名人で、後にヘロデ王の息子アケラオの流刑の後処理にユダヤに来ている。
このような世界史の中に登場する有能な人物が活躍している時代に、神の御子が生れようとしている。人の手に任せて十分ではないのか。否。彼らの容認しているヘロデ王は、嫉妬に駆られて次々と周囲の者を殺害し、民に圧制を強いていた。キリスト誕生の知らせにも、自分の王位が狙われるのではと恐れ、幼子殺害を命じている。また帝国中に住民登録を実施し、税収と兵役の徹底を図り、帝国の基盤を据えようとするが、個々の庶民の生活にまでの配慮はない。名君と言えども、人の心の世界にも平和をもたらすことはできず、いぜんとして世は暗い(イザヤ60:2)。そのために世は、別の王を待つしかない(参照ルカ1:78、79)。

《居場所のない王の登場》

皇帝アウグストの勅令は、ローマから東に遠いユダヤにも届き、若いヨセフ夫妻は、ナザレからベツレヘムに身重の妻を連れての長旅を強いられた。登録のために妻の同行は不用だったかも知れない。だがヨセフは出産間近のマリヤをナザレに置いて出かけることをためらう何かがったのだろう。出産の世話を頼む実家も無く、もしかするとマリヤの妊娠を不道徳の結果と見る視線もあったのかも知れない。初産の妻をあえて同行することを選んだのは、ヨセフの深い思いやりとも思われる。ベツレヘム滞在中に出産を迎えた。「宿屋には彼らのいる場所がなかった」ので「飼い葉おけ」の家畜小屋が、救い主と若い両親の居場所であった。この貧しい、静かな場所から、救い主のこの世での生涯が始められた。そのすべてが、私たちのためであり、神の大いなる計画の中にあった。パウロはそれを「主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられました。それはあなたがたが、キリストの貧しさによって富む者となるためです。」と言っている(Ⅱコリント8:9)。ささやかな若い夫婦の思いやりと、巨大な権力の交差する中に、神の救いの業が開始される。それは今の私たちの生活にも起こることだ。

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